ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

ことを避けるための調整システムもまた世界全体をカバーする規模が求められる。そして、不測の事態においても武力衝突にまで過熱することはぜひとも回避されねばならず、冷静なルールに基づいたフェアでオープンな国際関係の構築が尚一層強く求められる時代になったということである。更には、競争がもたらす危機は、個々の人格の内面にも侵入し価値観を崩壊させるような危険性をも含んでいる。従って、これに対抗する新たな連帯システムは、もはや単なる競争上の戦略としてではなく、人類の知恵として地球規模で再構築され未来に引き継いで行かれなければならない。それは、人間の尊厳・良心に立脚した、従来の「競争の論理の単なる裏返し」の次元を超越した、より高次の連帯意識を醸成することでもある。何れにしても、競争が連帯に優先する時代に終止符を打ち、連帯を基盤に安定した世界において公正で平和なルールに則って爽やかな競争が展開される世紀を切り拓いていきたいものと考える次第である。そして、そうした世界システムの骨格には、人類共通の信認を得た国際機構の存在が不可欠となろう。(3)国際平和維持機構としての国連国連の掲げる目標は、憲章第1章に謳われているとおり、1国際の平和と安全の維持、2人民の同権と自決の原則による友好関係の発展と世界平和の強化、3経済的、社会的、文化的または人道的問題の解決と人権および基本的自由の尊重、4これらの共通の目的達成のための諸国の行動を調和する中心となることであり、その実現のために諸機関と諸権限機能を保持している。いわば、これらの目標達成にどれだけ貢献しているかということによって、国連はその存在意義を問われることとなる。既に、規模の面では参加国数185という人類史上かつてない広範な組織率からみて、普遍的な世界機構になったといえる。しかし実際に重要なのは、その加盟各国の国際社会帰属意識(グローバル・シチズン・アイデンティティー)の強さであり、具体的行動の意思決定過程での世界的な視点を見失わない見識と責任感、自覚の在り方である。すなわち、加盟各国がどの程度、自国のエゴイズムを抑制し、国連の示す行動原則であ334