ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第11回努力賞さらには政府間機関である国連を個人に直接結びつけるなどの改革論はここに入る。川辺氏の提言も視野に入れ、次に「国連改編の具体的方策」について述べる。第2章国連改編の具体的方途1.国連改革の前提と先進国の理性的英断国連改革を現行の国連の枠組みの中で考えるとなると、重要な鍵を握るのは「P(パーマネント)5」と呼ばれる米英仏中ロの安保理五常任理事国である現在の国連はP5が完全に主導権を握りP5の賛同なくして何事も成しえない。安保理の構成を含む国連の改革には国連憲章の改定が必要であり、それには既存の五常任理事国を含む全加盟国の3分の2以上の批准が必要である。つまり、五常任理事国のうち一国でも反対すれば、改組は成り立たない。国連は各国の利害や見解が対立する問題を扱う場であり、厳しい国益をぶつけ合う場である。従って各国の意見が一致するのはなかなか困難である。国連改革は、自国に有利なように改革する政治的作業にほかならない。もし、いま国連の改革がなされるとすれば先進国、なかんずくP5の意に沿わない改革は実現不可能である。P5をはじめとする北の先進国と南の途上国との力の格差が歴然としている現状において先進国の意に沿う国連改革は格差を前提とし、それを拡大するものになりかねない。格差を拡大しない方向での国連改革をどう実現するか、「同床異夢」の状況下で先進国の理性と英断が求められる。極論すれば、大国は国連が存在しなくても十分活動できるが、開発途上国はそうはいかない。このように考えると、国連改革は開発途上国の主張に大国がどこまで近づけるのか、が前提になっていなければならない。開発途上国の安定と発展は、ひいては先進国を含む世界全体の安定と発展に結びつくものであることを銘記しなければならない。2.グローバルな問題への対応のための複数理事会創設と国連の二院制第1章の第四で述べたように、現在の国連がかかえる課題は非軍事的な問題が増大してきている。環境破壊、難民、飢餓、貧困、人口、人権、累積債務、麻薬、エイズ、テロ・・・311