ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第9回最優秀賞3.国連への民衆の参加国連憲章の前文は「われら連合国の人民は」という書き出しになっているが、国連は純粋に政府間機関である。政府に代表される国家の役割が変化する限りにおいて、その機関たる国連もその影響から自由ではあり得ない。したがって、ポスト冷戦、そして21世紀の国際社会を展望するとき、国家の役割を再検討し、その結果としての国連の役割を考察する必要がある。ポスト冷戦の今日、環境をはじめ開発、人権、難民、移住労働者と国家単位を越えるグローバルな管理が必要となった。このような状況下で、国連は真に国際的地球的問題群対応型の共同体として脱皮しなければならない。そのためには、なによりも民衆の声を反映させ得る機構に改革することである。「より民主的でひらかれた国連」は、一国一票制による国家間の平等ないしは国家間民主主義の実現といって次元にとどまるのではなく、むしろ、飢餓や「病的発展」からの開放を求める民衆に対して開かれた存在となることである。ポスト・ウェストファリア、ポスト冷戦時代の国連または国際組織は政府代表以外のアクター、例えばNGOや地域機構、その他の団体にも参加の道を開き、民衆の声が反映できる機関にすべきである。経済社会・人道的問題に関わる分野においては特に国家以外のアクターの何らかの参加は有意義である。このような改革は国連を単なる国家間の交渉の場としてではなく、国際社会のより独立したアクターとして位置づけることになる。これに伴って、当然のこととして事務総長の一段の権限の増大が必要になってくる。また、新しい国連システムは「新しい社会運動」という観点に着眼し、女性が積極的に開発計画に参画する方策を考える必要がある。第三世界の経済社会発展、とくに農村開発、食糧の増産、人口爆発の抑制、衛生状態の向上といった課題どれひとつとっても、女性の役割はきわめて大きい。29