ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

「国連の抜本的改編の具体的方策」第11回努力賞吉田正人第1章はじめに本稿について論考するにあたっての若干の視点を述べておきたい。第一は、国連は第二次大戦の遺物である、という点である。国連(The United Nations)という呼称は、第二次大戦で連合国が枢軸国に対して共同で戦うことを宣言した連合国宣言(1942年)で最初に用いられたものであり、連合国(United Nations)に由来するものである。国連憲章には、将来削除される見通しであり現在は死文化しているとはいえ、今も旧敵国条項がある。旧敵国条項は「戦勝国クラブ」といわれた国連の一側面を象徴する。また、国連憲章の前文は「われら連合国の人民は」という文言で始まる。呼称・文言の問題だけでなく、その体質も連合国(戦勝国)の中心になっている。そのことは、安全保障理事会(以下「安保理」という)の常任理事国の構成をみれば明白である。このように、国連は第二次大戦の遺物である。半世紀を経た今日、第二次大戦の遺物である国連の改革は新しい時代の潮流である。第二は、国連が50年の間に肥大化し、歪みが生じていることである。原加盟国51か国でスタートした国連も今や184か国(1994年4月現在)の加盟国数となった。国連創設時に比べ、加盟国は3倍以上に膨れ上がった。敗戦国の日本とドイツが実力をつけるなど、世界の政治・経済の姿も大きく変わった。「国連創設50周年の1995年を一つの節目として国連改革にとり組むべきである。特に安保理の構成と運営に時代の変化を反映すべきである」という声が加盟国から出るのは自然な展開といえる。第三は、国連改革を志向するときの方向性の問題である。国連改革を志向するとき、1現行の国連の枠組みの中で改革するのか、2主権国家を唯一行為体とした現行の国連の体307