ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

ロシアを代表する外交評論家コンドラショフ・イズベスチャ紙評論員は、『政策の変化はゴルバチョフの時から始まった。ロシアは自国を西側の一員と見なしたがっているのだ』という。国連内部では『ロシアは、国内の民族紛争解決をやがては国際的な平和維持部隊に頼ろうと思っているからだ』という見方が多い。・「8月26日、米英仏はイラクに対し、南部に飛行禁止区域を設定することを通告した。ある理事国は、法解釈上の根拠があいまいなこの作戦を、事前に安保理で話し合うべきかどうか、探りを入れた。インドは、『認めるわけではないが異議は唱えない』。中国は、『勘弁してくれ。米英仏が勝手にやるんだから』。議論は避けたい、という空気だった。飛行禁止について、安保理では一度も話し合われることなく終わった。ロシアの没落と中国の沈黙で多数形成は容易になり、米国はもう派手な工作を必要としていない。」(92.10.3)ここには、極言すれば「アメリカ一極主義」の安保理の実態がある。さらに、多国籍軍体制=旧連合国体制=核保有国体制=冷戦遺制であり、国際協力=国連協力=対米協力の構図が見え隠れする。湾岸危機に際して安保理の実際の行動によって明らかになったのは、5常任理事国の同調によって安保理の意志決定が決まるという冷厳な事実であった。票数の関係からいっても、5常任理事国が賛成した場合、非常任理事国10ヵ国のうちの4ヵ国が賛成すれば、決議は成立する。つまり、中小国の5分の2の賛成(必ずしも国際世論の多数とはいえない)によって、国際社会としての意志決定が可能である。これに対して、もし中小国が安保理でその意志を通そうとすると、5常任理事国のすべてが最低限反対しないことが確保されないといけないことになる。しかし、湾岸危機のときの安保理の実態はもっと深刻であった。大国の意志に抵抗しようとする非常任理事国に対しては、利益誘導(アメ)と圧力行使(ムチ)が公然と行われたのである。決議678号のときは、当初キューバ、イエメンに加え、マレーシア、コロン26