ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第11回佳作いう下限の分担率の国も80ヵ国余りある。国連の1994年~95年の予算総額は約25億8千万ドルであるが、分担金の滞納が常態化し、94年6月末現在、予算総額の5分の1を超える5億7千万ドルが未納となっている。滞納国に対して再三の納入督促を行っているが状況がなかなか好転しない。それが国連の日常活動に影響を及ぼしている。人員削減、機構簡素化なども行っているが財政危機から脱出していない。世界の軍事支出が1兆ドルとも言われている今日、集団安全保障に大きな役割を期待されている国連は予算が世界の軍事支出総額の0.258%であることが決して大きな額とは言えない。この額でさえ確保するのに四苦八苦しているのが現状である。お金のかかる組織である以上、予算が確保できなければ組織活動が成り立たない。何らかの方法でその問題の抜本的な解決を図る必要がある。2)財政困難な時期に予想外の大出費が重なり、国連の無力さが顕在化している。東西冷戦が終結後、世界の各地で経済権益、宗教、民族問題などをめぐって地域紛争が多発している。イラク・クウェート、カンボジア、ソマリア、モザンビーク、ルワンダ、グルジア、リベリア、ハイチ、旧ユーゴスラビア、チェチェン等などである。それらの地域紛争に対処するために、国連は多額のお金と人手を注ぎ込んだ。特に、湾岸戦争以来、国連は迅速な対応を重要視するあまり、徐々に武力行使に傾いてきた。第2次国連ソマリア活動からは従来のPKOとは性格が違ういわゆる平和執行部隊を主力とする活動も始まった。しかし、武力傾斜のこのやり方は、費用ばかりかかってその効果があまりない。ソマリア、旧ユーゴスラビア等ではことごとく失敗している。しかも、武力行使に当たって、国連は軍事的にアメリカ軍やNATO軍などに頼らざるを得ないのが現状であり、それは国連の威信、公平性を損なう恐れもある。いま、多発している地域紛争に対して国連の対応力の不足が目だち始めている。ブトロス・ブトロス・ガリ国連事務総長がボスニア紛争の鎮静化のために自らボスニアに飛び込んで紛争の解決を図ろうとしてセルビア人勢力に交渉を拒否されてしまったことがその象277