ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第9回最優秀賞加えて、安保理常任理事国の一つである中国も国内経済の振興と活性化のために西側の協力を求めていたが、1989年6月の「天安門事件」以来、中国政府の国内民主化闘争弾圧を非難する措置としてとられたアメリカを先とする西側の「経済制裁措置」により、中国は苦境に陥っていた。中国政府は国際的孤立から脱却し経済を活性化するため、西側との関係改善のために全力を傾注してきた。このことは、国連における中国の発言力にも大きく影響するところとなった。ソ連消滅後のロシアはアメリカと協調し中国が柔軟になった現在、国連安保理において拒否権が発動されることは稀で実質的には米英仏でほとんど決めてしまう。その中でもアメリカの発言力は強く、アメリカは自らの考えを国連の意思として実現する条件が確立されたといえる。近年の国連安保理の状況を朝日新聞のシリーズ「国連」は次のように報じている。・「パーマネント・ファイブ」。常任理事国五カ国を略し、国連ではP5と呼ぶ。湾岸危機以降、P5は安保理の「奥の院」になった。重要案件はすべてP5会合で決まり、決議案が練られる。残る非常任の十カ国は、案文にわずかの修正を加えるだけだ。湾岸以降、P5が承認し、採択されなかった決議案は一件もない。・「数日前には、ロシアが久しぶりに拒否権をちらつかせる『事件』もあった。米、英が中心となって進めた新ユーゴスラビアの国連からの追放決議をめぐる国連安保理の折衝の裏側で、『新ユーゴを交渉の場に残すべきだ』と主張してのことだ。拒否権はかつてのソ連のお家芸だが、下手に使うと孤立しかねない。各国ともタカをくくっていた。結局、ロシアは最終決議案に主張の一部が採り入れられたとして、新ユーゴ追放賛成に回った。『ロシアは最後は米国についてくる』―これが今、国連での『常識』である。かつての『ニエット(ノー)』の国はなぜ、『ダー(イエス)』に変わったのか。25