ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第11回佳作ベルギーはついで1945年5月29日にも第二の修正案を出した。これは、どの組織に憲章の解釈権限があるのか明確にするべきであるというものだった。しかしこれも結局受け入れられなかった。(その根拠は、公式の手続きがないことでflexibilityが確保される、というものだった。)ベルギーによる第二の修正案の失敗は司法機関による審査を明確な手続きとして憲章に乗せることが望まれていなかったことを示している。第2節拒否権誕生安保理の評決形式についても当初はいろいろな案があった。米・ソを含む、常任理事国間の特定多数決(4分の3、5分の4など)を要求するもの、常任・非常任を併せ、全体としての特定多数決を求めるもの、大国間の一致のほかに、ディクテーションを防ぐため小国の一定以上の票を要求するもの、などがあった3が結局最後のものに決まった(当初は11票中7票で可決。1963年に現行の構成に改正した際にも相当激しい駆け引きがあった)。現行のものに決まる以前にどの様な案が議論されていたかは、今後安保理の評決制度に再考を加える際に参考になり、記憶にとどめておくに値しよう。第2章正当性とは何かPolitics is not merely a struggle for power but also a contest over legitimacy, acompetition in which the conferment or denial, the confirmation or revocation,of legitimacy is an important stake.Inis Claude, Jr 4 .現代国際政治の流れのなかで、国連は国家の行動に正当性を付与してくれるものと見られている。湾岸戦争はそのことを示す最も極端な例であるが、湾岸戦争以降、特にクリントン政権になってからのアメリカはこれを政治力の増強に役立てるようである。「国際社会の秩序維持のためには国連を重視する」5旨を繰り返し唱えつつ、拒否権行使の恐れの減少した安保理を十分に利用することで国連の活動にコミットし、もって自国のselfinterestに基づく行動の正当化をはかっているのである6。3 David D. Caron,“The Legitimacy of The Collective Authority of The Security Council”, 87 A.J.I.L.(1993), p. 568.4 Inis L. Claude, Jr., The Changing United Nations(1967), p. 74.5たとえば朝日新聞1992年12月5日朝刊を見よ。6ただし、ソマリアなどでの失敗後は再び距離を置こうとの動きもある。See e.g.,軍縮問題資料(1994.4)、6頁。265