ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

格差が拡大することを危惧せざるを得ない。(6)国連の功罪世界は国連の創立から50年間に変革し続けたにもかかわらず、国連の組織と機能は基本的には創立当時のままを継続した。国連によって、第二次世界大戦後の世界は幸いにして世界的規模の大戦を避けることができ、冷戦構造も崩れ、国連は世界の和平の維持に貢献した。しかし、国連の活動は各所で必ずしも成功せず、現在も世界の40以上の地域で戦闘が行われ、さらに新たな火種が燻り、世界の和平達成の道のりには暗雲がたれ込めている。この現実は、世界の和平は戦略的な集団的安全保障の手段によって維持され得る、という国連創立当時の戦勝五大国の意図は、修正されなければならないことを示唆している。この意図を今後も継続すれば、世界の和平はさらに混迷することを、五大国自身も今や認識しなければならない時が来ている。世界の経済に目を転ずると、戦後の世界各国の独自の経済活動によって、先進国と発展途上国との経済格差が拡大し、発展途上国や紛争地域の多くの親や子供達は、貧困・飢餓・病気・恐怖に呻吟し、その度合いは益々深刻化している。それに伴って、さらに激しい抑圧や差別を惹起し、地球上の資源や環境さえも、科学や技術を駆使する人類の尊大な行動によって崩されつつある。すなわち、人類の福祉の向上を推進すべき重要な責務を、人類と国連は充分に果たしていないことを認識しなければならない。また、世界の文化に関しては、地球上の各民族と種族が多様な歴史・思想・宗教を持っていることは自明であるにもかかわらず、現実は、人類としての尊敬と寛容による相互の理解と自由な交流への道を人類自らが閉ざし、抑圧と差別を今も助長している。人類と国連は世界の文化について無関心であったか、または、文化の相違を口実にして紛争や経済格差を許容していたかのように思える。また、科学と技術に対するかつての礼讃と期待は次第にしぼみ、不信感と絶望感が高まりつつある。人類と国連は、科学と技術を人類と地球が共に歩むことができる調和したも254