ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

ページ
254/912

このページは 佐藤栄作論文集9~16 の電子ブックに掲載されている254ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

佐藤栄作論文集9~16

の部分が重複している。しかも、各機関のセクショナリズムはかなり強く、機関全体としての世界的効率は必ずしも良くない。その具体例として下記の事例を上げておきたい。ⅰ.国連人口活動基金UNFPAが主催した前記の世界人口・開発会議で議決された行動基準は、国連開発計画UNDP・国連児童基金UNICEF・国連難民高等弁務官事務所UNHCR・世界食糧計画WHP・世界食糧理事会WFC・国連人間居住センターHABITATの各国連機関と世界保健機関WHO・国際復興開発銀行IBRD等の専門機関の基本行動計画と充分に調整したものであったのであろうか?今後の爆発的な人口増加を目前に迎えて、人類はどのように行動すればよいのだろうか?ⅱ.国際海事機関IMOは、タンカーの海事事故による大規模な海洋油汚染を防止するために、タンカーを二重構造とすることを1992年に決議した。しかし、IMOは、二重構造化のよる船価・運航費の負担増加を、船体・貨物保険と油汚染に対する船主責任保険の料率の軽減によって、最小限に押さえるための経済的検討を行わなかった4。その結果、海運・石油業界には二重構造化に対する忌避感が生まれ、積極的な対応は遅々として進んでいない。また、IMOは、通常の船舶の一重構造の船底タンクに搭載されている燃料による油汚染防止を検討する計画を持っていないことも問題である。さらに問題は、IMOは、油汚染が船舶の構造が万全でないためだけではなく、船員のヒューマンフォールトによる船舶の衝突と座礁事故から発生することを認識していないことである。従って、IMOは、事故を確実に防止するための自動警報または自動安全操船装置の開発を世界に要請し、その装置の装備を船舶に義務付けることを検討する計画も持っていない。また、それと併せて、船員の資格と労働との関連を国際労働機関ILOと共同して総合的に検討する意向も持ってはいない。2524「IMOの二重船殻タンカーの経緯と規則」篠村義夫、日本造船学会会誌、No.773、93.11.