ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第11回優秀賞る権限であり、これを同様の基盤を持たない組織に対して与えることは適切ではない。しかし、その専門分野における能力や地域における役割から、国際機関の運営上有益な協力を得られる可能性も大きい。そこで総会のオブザーバーとして、さらに場合によっては総会議長の専門諮問機関のメンバーとしての資格を与えることは、可能かつ有益であると考える(既に国際赤十字がオブザーバー資格を有しているが、たとえば世界自然保護基金や国際労働機関の労働者代表委員の代表などは、オブザーバー資格を与えられるに十分であろう)。次に立法化された意思決定を実行する、執行機関の効率化が問題となる。まず、事務局の規模・業務内容としては、組織の運営に必要な最小限の機能のみを常置し、その他の専門部局(安全保障理事会や経済社会理事会も含む)や機関は全て短期間(3から5年間)の期限付きで設置し、必要性が認められた場合に初めて存続するという方式に改める必要がある(もちろん本来は、全ての機関が同様の原則の下に新設されているにもかかわらず、ほとんどの機関が改廃されていないのが現実であり、この現状を打破することに本質的目的がある)。これにより機動的な組織編成を可能にする風土を実現しなければ、課題解決の機動性や効率の向上は望むべくもない。さらに「効率」を確認するために、加盟国から10カ国程度の監査担当を選出し、総会議長直属の機関として、監査担当各国の会計検査・行政監察担当職員による徹底した監査を実施することが必要であろう。安全保障面での執行力の一環として、PKOや国連軍の扱いについても検討が必要となる。理想的な体制として、各地域内の委員会(Council)による意思決定と、委員会加盟国による派遣が最も望ましいことはいうまでもない。しかし現実にこれが機能し得ない以上、何らかの軍事的部隊の編成・展開を国際機関の下に実施する必要性は否定できない。また、紛争地域における完全な和平の成立は、民主的基盤の(実現だけでなく)安定化によって初めて達成されたといえることから、第1回の選挙監視のみならず、その後数カ月におよぶ支援・観察を要する。よって「調停・紛争停止の斡旋」→「軍事部隊の編成・241