ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

委員会(Council)を設けるべきだろう。これは地域内の広範な多国間課題について定期的に協議する機関であり、これまでテーマごとに開かれていた地域内首脳会議を恒常化・包括化する狙いを持つ。ここでは独自・常設の事務局などを設けずに、協議による協調行動を促進することのみにとどめる。これを基盤として、国連の組織を再構築する。これまでにも述べたとおり、課題解決力とその(組織的)効率を同時に向上を実現させるために、補完的存在ながら公権的執行力を持つ機関としての、新しい国連である。国際法(公法・私法)の分野においては、既に体系的整備が求められており、同時に新たな枠組みによる課題解決能力の実質化も必要となる。このため世界的意思決定機関としての国際機関における立法機能の強化は、不可欠である。また人口問題や環境問題の解決には、法的規制も不可欠ではあるが、税制や補助政策(特にドッジプランや今日の対ロ支援で用いられるマーケタイゼーション)などの経済的手法が、より有効である。これも立法機関によって意思決定される必要がある。また現在の体制下で、機動的・効果的に先に挙げた課題とその原因の解決に取り組むために、直ちに人口・環境と人道的援助に関する理事会を設立すべきである。なお、立法機能の強化のためには、その体制・手法についても改善が必要となる。この場合、基本的人権の普遍性に配慮して、加盟国に人口比に応じた(最大30票程度までの)加重投票権を与える制度も部分的に導入すべきであろう(同様の制度は既にEUで導入されている)。もちろん小国からは大国による支配に対する反発があるだろうが、制度的には機関の本質的部分についての意思決定は1国1票性を維持するとともに最大投票権をある程度抑制し、さらに運営上は小国同士の連帯によって、大国による不合理な意思決定がなされることは起こりにくいと考えられる。一方、NGOや地域組織(EUなど)にも議決権を伴う参加資格を認めるべきとの意見もあるが、国際機関における議決権をはじめとする参加資格は、(あえて民主主義的代表とは言わないが)あくまで民衆の付託を受けて運営される主権国家にだからこそ認められ240