ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第10回奨励賞[B]新しいシステム最近のPKOに問題が多いのはやり方が悪いせいもあるが、システムが新しい時代に適応していないからでもある。まず改革されるべきはPKOへの軍隊の参加様式である。現在世界の軍隊のほとんどに戦闘の機会がなく抑止力として働くだけになっているにもかかわらず、世界各国が莫大な金額を注ぎ込んでいるのは愚かというものではないだろうか。これから彼らの出番は祖国防衛より、外国に出張してPKOに従事するほうが多くなると予想されている。そのつど彼らが訓練を受け、新しい帽子をかぶって現地に赴くのでは時間がかかり過ぎるし、無駄というものだ。現在のアメリカ軍ほど重装備になる必要もないが、ある程度の戦闘能力を持つ国連常設軍が設立されることによって国連PKOの能率は格段と向上するであろう。そして基地を各地域に設置し、国連が有事の場合の軍事活動を保証すれば軍縮が一層早まると思われる。これから地域紛争に国連が積極的に関わっていく上で必要となっていくのが戦争犯罪裁判所である。初めての戦争裁判として有名な東京裁判やニュ-ルンベルグ裁判で最大の焦点となったのは一体どこの法律が適用されるのか、そしてなにを根拠に犯罪者たちを訴追できるのかであった。当時は、そして今も戦争犯罪に関する国際法は存在せず、犯罪者は犯罪の時点までに存在していた法律によって裁かれるという常識さえ無視されている。できるだけ早く戦争犯罪一般に関する条約が結ばれるべきだろう。みせしめや報復目的で行われる裁判を防ぐと同時に、被告に正しい法の裁きを下すことによって国連の正義は確固たるものになり得るのだ。[C]マニュアルの作成・ボスニア型PKOはそれぞれ歴史的背景が異なるため、十分な研究の後最適のやり方が取られるべきである。しかし、同時に今後ありうるケ-スを分類し、マニュアルを作成しておけば迅速な対応ができるであろう。国連がなんらかの形で一翼を担う軍事行動は主に国と国の衝突、イデオロギ-、宗教などの思想の違いが原因の同人種間の争い、そして文化の異なる異人種間の民族紛争の三つに分けられる。現在の状況からみて最初の二つは減っていき、201