ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

民たちの救援活動は国連が主に行っている。しかし彼らの指摘は国連の機関にも良く当てはまり、難民高等弁務官事務所などの国連機関とNGOの協力と改革が期待される。そして必要以上に援助を回すことがないよう意見のすり合わせも大切だ。国連は彼らを統制する立場にはないが、情報センタ-を設置して正確で迅速な情報の入手と分析を行い、そしてどこがなにをどれだけ必要としているかを発表して、効果的な救済にあたるべきである。Ⅲ.これからの国連平和活動[A]当事者に対する姿勢あらゆるPKOには莫大な費用がかかる。そして介入する側にとって実際にその犠牲に見合うほどの物理的結果はまったく得られない。PKOは伝統的な国家の存在目的-国民を満足させ勢力を拡大すること-に明らかに反する行動だといえる。地域の安定化、人口の抑制などの理由も考えれば無いこともないが、それらは全て間接的かつ副次的な影響にすぎないのである。PKOによる内政干渉の理由は純粋、かつ人道的でなくてはならない。ソマリア人達が現在のひどい状況にあるのは彼らの責任ではない。彼らは、偶然ソマリア人として、劣悪な環境を持つ国の国民として生まれてしまっただけなのである。私たちの援助を「与えている」といった考え方は消去されるべきだ。同じ人類として、彼らの苦しみは我々の苦しみであるという意識こそ今の時代の私たちに必要なものではないだろうか。厳正中立が国連がその真価を発揮する上で重要であることはすでに述べた。だがある程度は現地の権力者や合法的政府の意向を無視するわけにはいかない。基本的に国連PKOの最終目標は国際社会に通用する民主的国家の設立である。民主主義と資本主義は数あるイデオロギ-の中で最も優れており、この二つが我々の最終的な政治、経済システムとして世界中で採用されると思われる。しかし、民主主義は民族自決の思いに対しては無力だ。国連の平和維持活動は既成権力と民族意識の調整をしながら、少しずつ権力構造を民族が自決し、周囲と調和できるように変えていくものでなくてはならない。なぜならば既成政治は現在唯一の秩序であり、秩序こそ文明と平和の源だからである。200