ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

「最近の国連平和維持活動-特にカンボジア、ソマリア派遣などについての評価、また今後の平和維持活動のありかた、日本の果たすべき役割について-」序重松優国連平和維持活動(PKO)という言葉がよく聞かれるようになった。それだけPKOが必要とされているということであろう。冷戦が終結し、大国間の対立の時代が終われば、我々人類は核戦争の脅威から解き放たれて平和を享受できるはずだった。しかしながら、今となっては歴史は皮肉だというしかない。この不可解な結果は冷戦が特殊な戦争であったからだと思われる。人類を何度も滅亡させるに足りる核ミサイルを所持していたアメリカとソ連は、自国への破滅的な損害なしに米ソ戦争は遂行不能であり、仮に勝者になったとしても戦後の核の冬によってさらに打撃を受けることが確実であったため、両大国の争いは世界に影響力を広げてお互いを牽制する域を出てはならないことを認識していた。従って、局地戦争に両国は相反する勢力を支援していたけれども、同時に紛争が拡大したり、決定的な勝者が出てバランスを崩し、世界戦争に繋がらないよう危機管理も行っていたのである。冷戦後、大国の圧力は縮小、または消滅した。紛争の当事者たちは今や自由であり、米ソが置き土産に残した武器弾薬を使って全面戦争に突入した。旧東側諸国では今まで社会主義政権が押さえ付けていた民族感情が吹きだし、内戦に突入した地域もある。民主的な政治体制の導入と新しい自由の概念が独裁政権を弱体化させ、過激な民族独立運動に火をつけてしまったのである。隣国は同民族の保護のため介入に前向きな姿勢を示しており、それが高じて紛争が拡大、ひいては広範囲の地域が不安定化する可能性がある。難民は和平の目途が立つまで増え続けて受入れ国に大きな負担を掛けるだろう。また少数ゆえに迫害され、満足な結果が得られなかった民族は一部のパレスチナ人のようにテロリズムに走190