ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

違う。社会科にとどまらず、日本の教育は知識を得ることに片寄っており、いかに考え、いかに生きていくかという視点に乏しい。このことが、子どもも大人も含めて、今の日本人の在り方に影をおとしているのではないだろうか。子どもたちに新鮮な学習の機会を与えると同時に、私たち大人も、自分の生き方を考え、人権を考える機会を作らねばならない。そのために、国連という絶好の場を積極的に利用したい。私たちは、日本国憲法9条を平和と安全の根源と教えられたように、国際連合というものも第二次世界大戦の反省から生まれた平和機関という理想の形態としてしか学んでこなかった。その結果、理想の場として現実以上に美化して期待をかけるか、あるいは逆に、何かの事件に対してなんの効果もあげられなかったという現実のみを見て、国連には何の力もないと幻滅するかに、陥りやすかった。私たちはもっと国連を身近に持って、世界のあちこちの人々と一緒に悩む必要がある。悩んだ結果の選択が、仮に理想通りにすすまなくとも、海外ニュースのひとつとして他人事で済ますよりも、自分自身の生き方にはね返ってくるものはあるはずだ。ここまで本題と直接関係しないところを述べてきたが、日本人の意識の組み立てを根幹から論じていかないと、国連参加、特に国連平和維持活動との関わりの是非は論じられないと思ったからだ。えてして、日本国内では、どうすれば国際社会で合格点をとれるか、この程度の参加が他国からどのような評価を受けるかというような、他国の様子をうかがうような思考方法がとられがちだ。しかし、それでは国連そのものの意味を見失ってしまう。日本に予算面の負担がかかっている現状―それに見合う立場に立つ必要ということで常任理事国に入ることを余儀なくされるというような受動的な問題認識に陥らないためにも、国連の活動にかかわることの意味の重要さを根底から煮つめなおした民意を形づくっていかねばならないと考えるからだ。憲法に反しているとか、第二次世界大戦で日本に侵略された国が、日本を再び脅威に思182