ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第10回佳作「21世紀を目前にした国際社会の真の平和の達成に寄与すべき国連の役割はどうあるべきか」柏崎佳人1.始めにベルリンの壁が倒れ、東西冷戦構造が崩壊してからというもの、世界各国で民族や宗教紛争が火を吹き始めた。基本的に一民族一国家の中で暮らしている我々には、なかなか理解し難い感情であるが、それを別としてテレビに映し出される犠牲者達の姿や子供の表情に心を動かされない人はいまい。紛争に限らず政治的迫害や疫病、災害等のために、最低レベルの生活を送るどころか、日々生命の危険に晒されている人々が未だにこの地球上には数多い。火山の噴火、地震、洪水等の自然災害は唐突に発生し、人間をそれまでの生活から不可逆的に断ち切ってしまう。戦争や政治的迫害は死者や怪我人を量産するばかりでなく、難民を流出させ、2次的3次的な被害をもたらす。伝染病の流行しかりで、住民はこれらの降り注いだ火の粉を自ら振り払う事ができず、ただひたすら甘受し耐えなければならない。彼等の力の及ばない所で起こるこうした不幸に対処し、救済していく事こそまず第一に国連が力を注がなければならない役割である。総ての人々がまがりなりにも理不尽な死の恐怖から解き放たれたところから、初めてより良い生活へ向けての基盤作り、国造りのための開発が始められるのだ。21世紀を目前にした現在でも、未だに多くの地域で過去と同じ過ちが繰り返されている。その犠牲者たる死と隣り合わせの人々を救うには、国境を越えた対応が必要であり、国連以外にいったいどこの国や機関がこの問題を解決できるだろうか。167