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概要

satoh

第8回佳作ない物質や、新しい仕組みを大がかりに作ることは、科学技術の上では、さまざまなことを可能にしてくれるが、自然界にとっては、極めて危険度の高い出来事である。これまで科学技術の利用において、この認識が欠落していたことが、今日、フロンガスのオゾン層破壊の問題に見られるような、多くの環境問題を発生させた原因の一つである、と考えることができる。物の大量生産、大量消費によって成り立つ,今日の社会システムは、自然界から低コストで必要な資源を大量に採取し、それを精製加工して使用し、廃棄するまでのプロセスを、限定的に拡大して作りあげたものである。自然界の仕組みは、食物連鎖や水の循環に見られるように、微妙にバランスする多くの事象の関連によって成り立っている。しかし、今日の科学技術は、これを効率重視の視点で、もっぱら人類に都合の良い部分だけを、短絡的に自然界から分離して、自分達のための人工的な別世界を遣り上げることを目指してきた。そして、その入り口である自然界からのものの収奪と、出口である利用後の廃棄の問題には、これまで無関心できた。資源の枯渇、環境汚染、ごみの土酎口などの問題は、このように自然界からの資源の採収と、加工・流通に特化して発展してきた、工業型社会の社会システムと科学技術の、本質的な欠陥によるものであると考えることができる。このような現代の工業型社会の欠陥を、最も象徴的に示しているのが、地球渥暖化の問題である。今日の生活や物の生産を支えるためには、多量のエネルギーが必要であり、そのために化石燃料が消費され、結果として大気中に、二酸化炭素が大量に放出されることになる。このため、近年、その温室効果の影響によると思われる徴候が観測されるようになり、近い将来、地球の気温が数度上昇し、海面の上昇や異常気象の発生が危倶されるようになった。地球温暖化の問題に対する関心の高まりとともに、その防止のための国際会議が頻繁に開催され、二酸化炭素の排出量の国別目標の設定など、現在、その防止のための合意作りが、先進国間で進められている。しかし、今日の工業型社会の中で、その目標値を設定す991