ブックタイトルsatoh

ページ
980/1034

このページは satoh の電子ブックに掲載されている980ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

satoh

よう。18)しかし、エンカウンター・グループには二つの問題があると考えられる。一つは、人間性回復運動の中で「対等な人と人との出会い」ということが強調されたため、グループの中でメンバー一人一人の存在を無条件に受け入れるということが重視され、なぜそのような感情が生じるか、どのようにしてそういった感情とつきあって行くかという吟味がおろそかになっていったことである。またその中で、フアンリテ-クーは専門性を放棄して1人のメンバーとして他のメンバーと出会おうとする傾向が強まった。これによりエンカウンター・グループにおいては、感情を吟味する「観察」の楼台紬ミ弱まり、人間の感情に働きかけてその成長・治療を促す力は低下していったのである。もう一つの問題点は、エンカウンター・グループにおいては実証的な研究が余りされていないということである。ロジャースは、実証的な研究からは自分たちのよく分かっていることしか得られないと考え、個人の体験を尊重した実践を重んじた。しかし、そのために個人の変容と効果的なフアシリテ-クーのあり方との関連についての研究や、それに基づくフアシリテ-クーの訓練についての研究が立ち遅れることとなった。このことにより理念だけで進む傾向が強くなったエンカウンター・グループ運動は下火になったのである。エンカウンター・グループが、国際紛争における感情的対立を扱うための有効な手立てとなるには、以上のような問題点を克服していかねばならない。そのためにも国連大学における研究と実践が必要であるが、その具体策及び、普及の方法について次章で述べる事とする。第五章世界平和への実践のモデルー国連大学は如何なる方法で実施し、如何に普及するか-以上から、我々のアイデンティティの危機と、それに伴う否定的な感情に対する、エン978