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概要

satoh

その内発性を民衆から引き出すような開発教育こそ最も求められているものであろう。結語従来、常識的な考え方として、開発のための教育は発展途上国のため、それに対して、啓豪的な色彩の濃い開発教育は先進国向けという区別があったかと思う。しかし、私自身は以上のような考察を経て、開発のための教育の重点は確かに途上国にあるかも知れないが、開発教育は南北を問わず、いずれにも重要かつ有効なものであるという結論に至った。開発教育は現代にあっては万人にとって必要なものであり、とりわけ途上国にあっては、開発のための教育の下部構造として、その精神的土台を形成するものである。開発教育なしに開発のための教育、あるいはトレーニングを受けたところで、その人々は他の誰かによって管理され易く、又、不当な搾取を受け易い立場に置かれ、ただ自分が習得したことを他の誰かの利益のためのみに利用される状況に追い込まれるだけである。何度も述べたように、低開発諸国の貧困の問題は人類にとっての共通の課薩であるoLかし、この貧困の問題は単に経済的・社会的問題であるばかりではない.人々の価値観がこれに深いつながりをもっている。人が自らの人間の尊厳を維持し、さらにこれを高めることができるような価値観を、その人と共に探し出すことこそ開発教育本来の在り方ではないかと考える。かつて、アルフレッド・マーシャルは「貧困が必然的かという問題が私を経済学-駆り立てる」と言った。その経済学も残念ながら貧困の必然性を十分に解明するには至っていない。どうやら開発教育のこれからの可能性に、問題解決の小さな糸口が見えてきたような気がする。9占