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概要

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第8回優秀賞感情というものを特定し具体的に取り扱っていくことは、かなり困難な作業であるといえるだろう。本論文では、国家や国際関係という観念に比べると、無力で小さいもののように聞こえがちな「個人」という存在の持つ感情や体験の中にこそ、差別や対立を乗り越え、平和共存や和解を促進するものがあるという考えに立ち、従来の社会科学の枠組では扱うことが難しいと思われる個々人の心理力動に焦点を当て、なぜ人々が憎しみ合い対立するのか、どのようにして人々は憎しみや対立を乗り越えるのかについて考え、人間がそのような感情を乗り越えていくための具体的な方法論を提示することを試みる。本論文において提言を試みる具体的な方法論が、臨床心理学による世界平和-の貢献策となることを切に願って止まない。読-章問題の所在一感情的対立は歴史的必然か-259人が犠牲となったスコットランド上空でのパンナム103便空中爆破事件に関し、米英両政府=は3年ぶりにこの事件の犯人をリビアの情報部員と特定し、この情報部員の身柄の引き渡しと賠償をリビア政府に請求した。米国は、要求が満たされない場合は対リビア報復を示唆している。当初この事件は、イラン・イラク戦争の最中に米艦による誤爆で民間機を撃墜され290人の犠牲者を出したイランの報復とみられていたが、現在は1986年の米軍のトリポリ・ベンガジ-の空爆に対するリビアの報復であるとされている。そもそもこの空爆は、西ベルリンで米兵2人が死亡したディスコ爆破事件が、リビアのテロ工作であ4)ると判断した米レーガン政権の報復によるものである。朝日新聞の論説委員はこのことを「現代の仇討ち」と超して次のように述べている。9占7