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「個人の平和から世界の平和-」一臨床心理学からの提言-票岩秀幸序臨床心理学による世界平和への貢献近代に宙いては人権についての宣言が繰り返し行なわれるようになり、各国の憲法や憲章に、人間の自由と平等、あるいはそれらに対する不可侵の精神といったものが盛り込ま1)2)れてきた。しかし,人種や民族、政治体制など様々な原因に端を発する紛争は世界各地において後を絶たず、最近のユーゴの紛争にみられるような深刻な様相を呈するものも少なくない。一方で南アフリカの人種差別政策の撤廃や中東和平会議の開催など、和解と歩み寄りを示す動きも数多くみられる。そういった国際情勢に対して、政治や経済、文化、社会といった大きな視点から取り組むのが、社会科学の代表的なアプローチの方法ではないだろうか。他方、民族間の紛争や国家間の対立などが、どのような感情に根ざしているのか、そういった感情はどうしたら変わりうるのか、具体的にはどのような方法でそれは可能か、といった個人や集団が持つ感情という側面に視点を掘えた探究・実践が、臨床心理学による国際問題-のアプローチのあり方ではないかと考えられる。個人の感情や体験は様々であるが、それら個人の感情や体験の蓄積というものが、集団や社会、そして民族の感情を形成し、国家休制ひいては歴史の趨勢さえも決定していくこ3)とは、すでに述べられてきたことである。しかし、巨大な国際社会・国際体系において、あるいは複雑な各国の歴史や文化の絡み合いの中において、多岐にわたる個々人の意思や96占