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概要

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やはり国連大学でなければならない。事実、国連大学は「国連大学憲章」(1973年)にうたわれているように、人類の存続、発展および福祉にかかわる緊急かつ世界的な問題の研究をその仕事とする使命をもつものであり、具体的な成果にも見るべきものが多い。さらに国連大学について特に注目したいのは、世界各地の学者、研究者で結ばれた多数のネットワークの存在である。このネットワークの活動により、各方面にわたる規模や地理的分布によって、全体、部分にわたるさまざまな組織が形成され、国境や文化・民族・宗教などの違いを超えて発生する多数の複雑な問題に共同でとり組んでいることは、大学の目的からはもちろん、組織の面からも、各国、各地域ごとのミニマム策定に有力な手がかりが大いに期待できる。ここに現実の問題として気にかかることは、すでに詳述したように問題は最貧国にあるため、作業の実施は、優先的にまずこれらの国々から着手しなければならないにも拘わらず、これらの国々では、必要な統計や資料が貧弱なことが、作業を一層困難にすることである。一方、公平の概念が非常に暖味で、極端に言えば万人がそれぞれ自らの公平の概念を抱いていることである.実際、人間の生活は、科学技術の発達によって物質面では絶えず向上していることはある程度数字の上で立証できても、物質だけで済まされないそれ以上のものを考えるとミニマム測定そのものの困難性がますます濃厚になってくる。例えば、話が横道にそれるが、国連大学のある会議の一部について前出の武者小路教授が規子夫人との対話形式でとりあげられた『飛糊する日本人』(主婦の友社)の一部を要約すると、食糧問題討議の席上で、カロリーやビタミン計算の最低限の充足を唱える人、それだけでは測れない一家国軍とか美的感覚を重視するガルトウング氏、さらに第三世界の栄養学者は、氏の意見は満ち足りた西欧人の言うことだと批判、あるいは別の第三世界の人は、飢えかかっている人でも、国連の救援物資を目の前にしながら、自分にふさわLい伝統的なものでないとして、絶対に食べようとしない人までもあったと指摘している908