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第7回佳作4地球的シビル・ミニマムを志向する国連・国連大学シビル・ミニマムについてまず頭に浮ぶのは、80年代にドイツを対象として唱えられたエンゲルの法則、あるいはイギリスを対象としたロウントリーの貧乏線である。戦後わが国においても最低生活資金算定方式としてのマーケット・バスケット方式、エンゲル法則停止方式や学研方式などが数えられる.あるいは福祉を中心に考えると、1981年のノーベル経済学賞受賞者ジェームス・トービン氏などが精力的な研究を進めている国民福祉指導(NNW)などがある。だがこれを、地球的規模でとらえるとなると既往の研究を下地としながらも、中立的な国際機関による大がかりで綿密な研究が要請される。まず考えられるのは、国連大学がその優秀な人材と膨大なネットワークを活用して息の長い地道な研究が必須となる。ところで、研究を進めるに当って最先に配慮したいことは、基本的な人間のニーズを涌たすことは次元の低いもので、もっと高度の欲望を求めることが高級であるといった物質成長的志向が過度に蔓延している現状-の反省である。それはなにも低成長を主張するものではなく、全体的に欲望の基準を下げて、そられに優先順位をつけることを意味する。ではこの水準を、どこに設定するかについては幾多の難問が潜んでいる。思いついたままでも、1数量的に算出するための手法の開発、(勤さまざまな国民、民族の生活実感とコミュニティの施策との関連づけ、3地域における自然・生活手段・生活基盤などの素材的要素をどのような角度から評価するか等々があげられる。しかもそれぞれの国家地域が異なった形をとっている以上、これをたしかめ同質的な統計をとることは難事中の難事であり、また調査方法と調査時点もさまざまであって、複雑な作業を殆ど永久的に続けなければならない。現実論としてまず考えられることは、シビル・ミニマム設定には、その国、その地域での社会的余裕の程度の差を認めることであろう。差当り、余裕の程度が高いところでのシビル・ミニマムは、低いところでのものより水準が高いことが許容されるべきである。さ903