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概要

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第7回佳作ここで想起するのは、第二次大戦直後『平和の解剖学』の著者エメリー・リーグスが、「平和問題は、社会的かつ政治的な問題であって技術的問題ではない」と喝破したことである。実に世界主議の窮極目的である平和一戦争防止そのものは、その原因である政治的な不公正や社会経済的な不平等を解決して国際正義を確立してはじめて燭光が見出されるのである。ここで注意しなければならないのは、平和の維持を強調するあまり、正義の実現を犠牲とするおそれが生じないかということである。平和と正義(とくに不公平の是正)という二つの価値を両立させるため、国際協力を推進するには、国連およびこれと連携する多数の専門機関(本稿では特に国連大学)が重視されなければならない。以上みてきたように、世界連邦構想の背後には国連の存在が暗黙の前提となっているという現実を手がかりとして、国連の在り方についていま一歩踏み込んでみるとき、冷戦後の新しい国際秩序を作るうえで、数多くの問題が存在するなかで、現実に頭に浮ぶのは、現在の湾岸危機の後始末(本稿執筆中ではその結末は予測できないが)を通じて相変わらず取り残されがちな「南北問題」-の対処という歴史的テーマをどうしても姐上にのせざるをえない。その場合、国連はまず何から始めるべきか、そのためには国連大学はどのような役割を担うのかという本テーマの核心に迫らざるをえなくなってきた。3地球的シビル・ミニマム論これまでみてきたように、人類の平和を考えるときには、内容に変化をみながらも常に、世界連邦的構想が登場し、またそこにはさまざまな形での悲観論、楽観論(端的に言って前者の方がむしろ強い)が入り乱れているにもかかわらず、その背後には常に国連の存在が意識されていたことだけはすべての共通点であったことは否めないであろう。もともと、平和-の道といってもそこには幾多の選択肢があって一言できめつけることが難しいのは、平和の概念にもさまざまなものがあるからである。しかしそれらの中で、899