ブックタイトルsatoh

ページ
899/1034

このページは satoh の電子ブックに掲載されている899ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

satoh

第7回佳作らわれるばあいは、特定の衣装を着て、特定の舞台で、特定の役割をすることを考えねばならない。具体的に言えば、衣装は世界連邦であり、舞台は現実の国際社会であり、役割を担うものこそ国際連合そのものであるとすることが最も現実性があるのではなかろうか。ここに今日まで、憲章の理念とは裏腹に、平和に対してはあまり頼りにならないと思われがちな時期も少くなかった国連の存在が改めて槍舞台に登場してくる。いや、そうでなければならない時期が到来したのである。この度CSCEの首脳会議で採択されたパリ●■●■憲章が「欧州全土の対立と分断の時期は終わった。今後のわれわれの関係が尊敬と協力に基づくことをここに宣言する」(傍点は筆者)のうち「欧州全土」を「地球全域」と拡大することを強調したい。だが一歩退いて、世界連邦と国連とがどのようにかかわりあうかを考えてみると微妙な問題が多く潜んでいるoとりわけ最も基本的な障害は、もともと世界連邦という考えの極限には、現在の世界各国がもつ国家主権の清算が戟争を絶滅させるという認識から出発している。とすれば主権の移される高い単位として国連を基とした世界連邦というものが想定され、それのみが主権を有するという理論的帰結に到達する。だが、現実に果してそのようなことが直に実現するであろうか。各国の主権尊重の姿勢は強くなっても弱まることのないのは、EC統合においてのイギリスの態度を持ち出すまでもなかろう.もっとも技術的には国連憲章をはじめそれと一体をなしている他の諸憲章や規程の条文を再検討し、その任務を達成しうるような姿に全面的改訂をする。あるいは、改訂案を作成し、それに解説をつけることによって、このテーマの要求を充しうるという考え方も生じるかもしれない。そのためには、世界連邦はある種の世界法のようなものの支配による世界法治社会の形成を目指さざるをえない。そしてこれを実効的にするためには、例えば国連裁判所、国連警察(国連軍のようなものか?)などをはじめ紛争防止センター、事務局の設置など新しい危機管理の仕組みが必要となるが、それには予想を超える幾多の障害の克服と長い時間が必要であるばかりでなく、例えば湾岸危機に対し、国連軍そのものがいかに対応しにく897