ブックタイトルsatoh

ページ
898/1034

このページは satoh の電子ブックに掲載されている898ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

satoh

道的思想家の感情論や理想主義者の観念論の域にとどまっていたように見受けられる。だが、現在の国際情勢は世界連邦的構想の正確な科学的分析を熱烈に求めざるをえなくなったと言いえよう。言い換えれば、世界連邦への接近のためにはどのような地盤を築くか、国際社会の発展の中でどのように育成していくべきかを検討する機運がもり上ってきたことを認識せざるをえない。ただ残念なことに、巷間唱えられる世界連邦論には、いまひとつ現実的な体系的思想に乏しく、極論すれば、平和-の悲願の強調から自然発生的に世界連邦が生まれるような気配さえもある。平和理念の先行は、核兵器が戦争を追放するものときめつけるのと同様に、極めて危険な希望的憶測にすぎない。事案、やや天邪鬼的表現で繰返すと、ポスト冷戟下では却って逆流現象が生じ易いことは、現在の湾岸危機にもみられることである。その原因は、米ソ両大国の指導力低下をはじめさまざまなものがあげられようが、私見を敢て言えば、南北問題-の視点の欠如に多大な原因があるように思われる。さきのCSCEでは、全欧州が一致できる課題を一応見出し、協力していくことが現実味を帯びてきた半面、各国間やあるいは欧州と他地域との利害を速やかに調整する道筋は、いまのところまず見えない。これらの点について武者小路公秀明治学院大学教授(元国連大学副学長)が「まず、これから色々な軍事紛争が第三世界の諸地域におこるであろうという心配が大方の専門家の一致した感触であった」(『朝日新聞』'90・10・5夕刊)と述べて屠られることをかみしめておく必要がある。だが、この現実を見つめながらも私は、世界連邦的構想が、単なる理念だけにとどまるとする大方の見解を無条件で鵜呑みにすることに梼梓を覚えざるをえない。というのは、このようにあってほしいという理想主義と、現実の冷徹な分析を基とする現実主義との緊張関係の下で、望ましい活力ある構想が生まれる可能性を強く信ずるからである。敢て言えば、世界連邦論が意味する永遠の平和を希求する世界主義には巨大な潜在的エネルギーはあるが、それ自体には現実を形成する力はない。したがって世界主義が具体的な姿であ89占