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概要

satoh

第7回佳作と言えばそれまでであるが、そこに潜む根本原因は緊張緩和に目を奪われて南北間誼-の関心が薄くなっていたところにある。つまり南北問題とした地域紛争が、イラクのクウェート侵攻に象徴されるような形で起っているとも思われるO言いかえれば、軍事力のみ重視して経済格差の問題を軽視していたこと-の反省が促されたのであり、それ-の対応策として私はあえて地球的シビル・ミニマム論を登場させたわけである0このような全地球的問題については、国連と国連大学という国際的に中立的な機関の役割が重要になってくることに改めて注目したい。もとよりそれには、幾多の試行錯誤が積み重ねられる困難で地道な努力が要請される。しかし、激動する現代の国際情勢について群盲象を撫でる式の勝手な(?)議論をするよりも、たしかノ、イエクが『新自由主義とは何か』の中で述べていたように「われわれ人間は、われわれが手に入れることができる範囲内の知識を、工芸家が工芸品を作るようなやり方で社会の秩序を設計するためにではなく、園芸家が植物のためにしてやるように適切な環境を整えることを通じて(社会の)成長を促すために用いなければならない」(西山千明訳)という方向で論じたいと思う。2世界連邦論的構想の再検討二回にわたる大戦の悲劇が、世界の深刻な国家間の対立に何らかの反省を促したばかりでなく、武器、戦術などの飛躍的な進歩をみる一方、交通、通信などの急発展によりいわゆるボーダーレス化が急進した国際社会では、かねてから夢物語のように考えられていた永遠の平和を希求する世界主義を横棒した世界連邦的構想の問い直しが散見され始めた。現実には、ポスト冷戦を象徴する東西緊張緩和の予想外の躍進、欧州統合-の意欲的な努力に始まる全欧安保協力会議(CSCE)の成果としてのパリ憲章にもられた理念などをみるにつけ、世界連邦的な動きの兆しが見え隠れしている気配が窺える.もともと現在までの世界連邦論については、さまざまなものがあったが、その多くが人895