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概要

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第7回優秀賞げで、後者の側面が悪い形で出ないようにするためのたゆみない努力が必要なのであるD大国専制の危険性またここでいう大国とは第二次世界大戦戦勝国である。ドイツや日本の常任理事国-の昇格はさておき、未だ「旧敵国条項」の削除は実現されていない。国連での五大国協調が米ソ冷戦開始前の状態-の回復であってほならないだけに、この点も大変気掛かりである。警察官が正義の立場を貫き、判断を誤らない限り、社会にとって警察官の弊害はない。ところが、一度警察官が警察の利益のために行動したり、ミスを犯せば、それはとりかえしのつかないことになる。だが、警察は要らないということには決してならない。同時に、警察官は凶悪な犯罪者に対抗できるだけ十分に強くなければならない。こうした警察なき国家はアナーキーでしかないからだ。したがって、「国際社会にも強い力を持った警察が必要だ」という理想は成り立つ。問題は、例えば「四人の警察官」なり「五人の警察官」が最もふさわしい警察官かという点にこそある.現在の常任理事国五カ国は、ふさわしい警察官といえるだろうか。未だ核保有国が「横の核拡散」を批判することを正当とする国際的合意はないoすべての常任理事国が過去五年に中東に武器を売却しており、イラクに対してだけでも総額は三〇億ドルにのぼるといわれる(注10)。しかも、国際社会にすべての国家が完全に一致できる正義というものがあれば、その正義に反する国家に罰を与えることは正当なことである。しかし、残念ながら未だ国際社会にそのような単一の正義は存在しないOだからこそ、五大国による国連機能の拡大は、五大国の専制に陥る可能性をもっているのである。あらゆる問題が大国主導で一方的に決められてしまう可能性といってもいいO五大国が巨大な核兵力を維持したまま、横の拡散すなわち核保有国の増加を防ぐために(往10)『毎日新聞』一九九〇年一二月二三日。 879