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概要

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ンは小国の役割についてかなり懐疑的だったといわれる(注8)0ダンパートン・オークス、ヤルタの両会談で、英米ソはこれらの主張を調整、一九四五年四月二五日、サンフランシスコでの国連創立会議に臨んだ。ここで、オーストラリア、ニュージーランドを中心とする中小国は、安保理を中核とする大国の影響力をできるだけ制限し、総会の役割をできるだけ拡大することを目指した。結果的に、総会に一般的な審議権、勧告権を与える新しい条項が憲章に追加された。経済社会理事会の権限も、信託統治理事会とともに主要機関の地位に昇格された。また、フィリピンのカルロス・ロムロは信託統治地域住民の将来に触れた部分に「t独立'Fを入れなければ、この条項の意義は半減する」と強く主張、草案になかったや独立/'の二文字を加えることに成功したOこの結果は、ウイルソンの理想を体言しようとしたコ-デル・ノ、ルの主張に近付いたことを示しているのかもしれない。チャーチルやスターリンの権力政治重視の所産である五大国の拒否権という大国の特別の地位は確保されたものの、国連憲章は確かにウイルソン的理想主義を反映したものとして成立することになったのである。ただ、ここで付け加えておきたいのは、ウイルソンの平和維持構想には大別して集団安全保障と多角的国際協力の二つがあるという点である。ウイルソン研究者の草間秀三郎氏は、従来ウイルソンの集団安全保障構想ばかりが重視されてきた点を指摘し、「ウイルソン構想は-ル国務長官によって国連憲章の中に確実に、より本格的な多角的国際協力機構体制の形をとって復活されていく」と述べている(注9)。この点は、後述する国連の平和維持機能の在り方を考える上でも重要な点である。さて、今後の国連における大国の在り方を考える上で、国連の創立にまでさかのぼった理由はすでに明らかであろう。冷観終結による米ソ協調により、国連機能の回復が急速に進んでいることは、「大国支配による国連」の側面を押し出すことになる。大国が力を合わせ、平和を乱すもの、国際社会に害のあるものを力で押さえ付けるという考え方は、ルーズヴェルトの構想と全く矛盾しない。ウイルソン的理想主義と権力政治的側面とが結合されるという必然性があるわ878(注8)明石康『国際連合』(岩波書店,一九八五年)、二五-二七頁。(往9)草間秀三郎『ウイルソンの国際社会政策構想』(名古屋大学出版会、一九九〇年)、二〇二頁.