ブックタイトルsatoh

ページ
84/1034

このページは satoh の電子ブックに掲載されている84ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

satoh

いるのは周知の通りである。第一回目の「国連開発の10年」はいわゆるプレピッシュ理論をその基礎として様々な発展のための戦略を打ち出した。なかでも顕著だったのはラテン・アメリカの国々において活発に行われた「輸入代替工業化」であった。これはまずまずの成功を収めたわけだが、いわゆる従属論の学者が指摘するように、かえって当該国の外貨事情を悪化せしめ、又、その国内における貧富の格差の増大につながったことも事実であった。世界的レベルで見てもこの間に南北間の格差はむしろ増大してしまった。このような状況の下で開かれた1970年秋の第25回国連総会で「第二次国連開発10年のための国際戦略」と題する宣言が採択され、その中で途上国の国民総生産(GNP)の平均成長率を年率6%にまで引き上げることをもり込んだ。また、60年代を通して先進国から多国籍企業が安価な労働力と資源を求めて途上国に進出し、その支配力が強大化してきたことを認識した途上国が徐々に白主思考を強めてきたのもちょうどこの頃である。ここで起ったのが1973年秋の石油危機であった。これをひとつの契機として途上国の間に自国資源、自国経済を自国が管理・統制するのが当然であるという考え方が広まり、やがて常識化した。こうして、途上国の要求や主張の中に実質的な裏付けができたわけであり、これがこの後ある種の政治力としてその交渉能力を著しく高めるの忙貢献したのである。ところが重大な問題も残された。それは資源を有する途上国とそうでない途上国との間に経済的格差が増大し、いわゆる「南南問題」と呼ばれる新たな困難が生じたことである。今や人類にと注1)って危急の課題は極貧状態にあると言われる約24億人に少なくとも最低限の人間としての尊厳をもった生活を保障することであろう。この人々の多くは資源を持たない途上国の人々であり、彼らの国家は資源を有しない故に国際的な発言権も決して強いとは言えない。しかも、石油価格の高騰に端を発したインフレは先進工業国においてさらに増幅され、先進国からの製品の輸出を通してこのような極貧状態にある、つまり外貨事情の最も悪いような国々に波及してゆく。言うまでもなく最も深刻な打撃を受けるのはこのような後発発展途上国である。冒頭でふれた「相互依存」体制というものはこのような負の意味での波及効果も包含していることを我々は認識しなければならないだろう.そこでは、相82注l)t■BASIC HUMAN NEEDS"HarlanCleve)ald.PP.32.世界銀行リポート