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概要

satoh

第7回最優秀賞国連大学はすでにこの分野においては盛んな研究活動を行っている。特に、「累積債務問題」などに取り組んでいる国連大学RTCのWIDERの活動、「途ー上国が先進国の技術進歩から取り残されるのを防ぐ方法」の研究、「都市と地方の関係」の研究などに注目したいと思う。先進国の発展途上国に対する「援助」はどうしても対症療法的になりがちである。例えばェチオピアの飢餓に対する先進国の援助は単に援助物資を洪水のように集中させることに終わった。このような活動も短期的には必要であるが、より根本的な問題解決のためには、やはり途上国の社会制度、経済制度まで踏み込んだ社会工学的視点からの処方等が必要である。例を上げれば、7プリカ諸国の食料自給率が下がり続けていることをどう考えるかである。サノ、ラ砂漠の領域拡大も報じられ、ここでも「アフリカの貧困は環境-自然現象のせいだ」という一種の宿命論がまかり通っている。しかし、アフリカの食料自給率低下の背景には、換金作物の栽培による土地の生産能力の低下,人口の都市集中による農村の荒廃といった社会的要因がある。また、アフリカの都市の多くは植民地時代の名残で、整備された港湾設備を持つ湾岸都市である。一方で内陸の農産物生産地との交通網は未発達のため、食料は海外から輸入した方が簡易という皮肉な現象も生じている0そして、先進国からの援助はこれらの社会的要因を取り除くどころかむしろ強めているのである。これは途上国の発展の為の条件に対する全くナイーヴな思い込みのためであって、社会工学的な観点から、より洗練された援助計画が必要なことは明らかである。現在地球の抱えている問題の多くは結局先進国と発展途上国の間の関係に帰着されると思うoLたがって地球規模の問題に取り組む国際機関に要求されることは、何よりも発展途上国との太いチャンネルを持つことであると思う。この点、国連大学は発展途上国からの多くのフェローとの相互作用を通して、当該国の政府レベルの政策決冠に間接的な影響力を行使できる立場にある。国連大学がこのような利点を生かして、現状分析にとどまることなく、様々な社会工学795