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概要

satoh

第7回最優秀賞これは先走りすぎというものであろう。私は、国連大学には上に述べたような活動を実現するユニークな能力があると考えている。国連大学のスタッフやそのネットワークを構成する研究機関は、発展途上国やマイノリティーの立場を反映するのに必要な情報を得るのに適Lたバックグラウンドをもっているはずである。これは、今日の世界のマスコミが西側先進国を中心に構成されており、そこに流通する情報もその意味で偏ったものであることを考えるとき、大きな意味を持つ。また、上に述べた「有権的な事実の摘示」は国連大学の掲げる活動の三本柱のうち、「知識の普及」にまさにあたるのであり、国連大学はこのような活動を行うのに適した人材や組織をすでに備えているはずであるOさしあたって、私が思い浮かべているのは国際紛争が生じた場合、国連大学学長が記者会見をして当該紛争に関して国連大学がリリースする「事実のリスト」を公表するというものである。もし、このような構想が定着できれば、今日国連事務総長が果たしている政治的な役割とはまた別の意味で、国連大学学長が国際社会における重要なプレゼンスとなることが可能かもしれないのである. (異なった分野ではあるが、すでに、このような活動(事実の摘示)を行って大きな成果をあげている団体として、NGOではあるが、アムネスティー・インターナショナルの例があげられる。)今日、様々な重大な問題が「解凍」されて動き出そうとしている。ソ連の民族問題や中東問題ばかりでなく、アイルランド問題や、アパルト-イト、ケベック独立問題、チベット問題など、世界にはいつかは現存する秩序を揺るがす可能性を持つ問題がたくさんあるo「ソ連と中国はやがて解体される運命にある。」と極論する人もあるほどであるOこのような流動的な時代にこそ、「事実」をしっかりと把握した、正確な判断に基づく政策決定が要求される。現在のところ、国際世論の形成において、十分な情報提供に基づくinformeddecisionは未だ実現していないと言ってよいだろう。私はそのような意味で、国連大学が上に提案したような活動を行うことには意味があると考えるのである。791