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概要

satoh

第6回佳作的に行なえるような、「J[ユ」の問題まで含んだプログラムの展開が、ここでも望まれるのである。これからの国際社会は、これまでもそうであったように、より多く科学・技術の進展に依存し、多くの困難な課題を解決していくことになるだろうことは明らかなのだが、一方で、それが人間の「心」の制御を失ったとき、人類を決定的な破滅におとしいれかねない危険をもはらんでいることを知るべきなのだ。例えば、現代の自然科学をリードしている分子生物学について、この分野の世界的権威の一人である渡辺格氏は次のように指摘しているのである。「元来、分子生物学者は生命現象を物質的に解明することを目的としていたが、その結果として、生命あるいはウイルスを合成する研究の方向が開かれてきた。この場合の目標の一つは生命の合成、もう一つはその成果を使って人間に役立てようとする応用面である。(中略)それはちょうど原爆開発の場合に似ている。人間は核分裂の秘密を知った。うまく使えば人間の幸福につながるはずなのに、下手に使って原子爆弾となった。(中略)遺伝子の合成は、人間の幸福の基となるような発見であるかもしれないoLかL使い方によって、人間が破滅におちいる恐れも十分に予想される」と。そして彼は、分子生物学からライフ・サイエンス-という転換を示し、次のような重大な提言をしているのだ。「一九六八年、私は小分子生物学は終わった'Tという問顎発言をLて、さまざまな波紋をなげかけていた。しかし私の真意は、分子生物学からライフ・サイエンス-、という転換も示すことであった。その場合のライフ・サイエンスとは、人間の肉体的、精神的生命の解明を目指すと同時に、さらにそれを超えて、人間のそして人類の向かうべき目標は何か、を検討することまでも含むものでなければならない。それなくしては、これからの科学、とくに生命の科学が正当な位置づけをされないであろう目標、それを探求することがライフ・サイエンスであると私は考えていた.775