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概要

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化間コミュニケーション研究の活性化のためにも、日本は長い歴史に支えられた独特のコミュニケーション文化をより深く探求し、その研究成果を、あくまでも日本の立場から広く世界の場に提供する努力を積み重ねることが望まれよう。そして、経済的、技術的貢献は最も日本がその持てる力を生かせる貢献であると考えて良いだろう.前章まで書いてきたような国連大学の将来の発展可能性を増大させるためには、先進諸国の積極的な協力が必要不可欠であるが、日本は、開発途上国に総合情報機関を設立したり、既存の施設を利用してその機能を持たせたり、ネットワークをつくる際の技術的貢献が十分できるはずであるし、財政面での援助は可能な限り行なうことが期待される。また、上記の目的に適合するような人材の育成に力を入れ、開発途上国-積極的に派遣していくことも先進諸国の一員としてより推進していくべきであろう。つまり、対外援助も、単に経済援助だけにとどまらず、その国の文化を保持し発展させていくための、いわば「文化的援助」の枠までる。援助を思い切って広げていくことが求められているのであ最後に、これら全体を貫いている底流として、何よりも日本人自身が自国の文化を良く知った上で、他国の文化を正確に見つめ、評価を下すことができるような姿勢を持ち、他国の人達と円滑にコミュニケーションすることができる実力を身につけていく努力を惜しまないこと、そしてそのひとりひとりの努力の積み重ねが最も大きい力となることを忘れてはなるまい。概して今の日本人は、自国の文化に対する個々の自覚が、少しずつ希薄化してきているように患われる。エスノセントリズムに陥入ることは、大変危険なことであるが、それに陥入ることなく、自らの存立を支えている根底的なものを、もっとしっかりと捉え直すべきではないだろうか。そこが確固たるものになって初めて、異文化間コミュニケーションの場面でも融通無境の精神を貫くことができ、真の国際人たり得るのである。Lたがって、教育の場においても、このような姿勢がもっと取り入れられることが望まれるのであり、その努力の結果として、明日の日本を、そして明日の世界を背負って立つ東の国際人が養成される道が開けるのである。740