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概要

satoh

第6回優秀賞とができよう。日本は、単に非西洋社会の中で最初に近代化を達成したというだけではなく、近代化というユニヴァ-サルな波の中でしかも日本独特の価値信条体系、日本独特の文化をよく保持してきたという点も特徴的であり、この点については近代化論の立場から数多くの研究が重ねられてきた。この点でも、日本がさまざまな意味で、己を研究素材として人類の発展に寄与するところは大きい。開発途上国はそれぞれ、科学技術の習得によって近代化を進めることを目指しているが、それは、先進国のもっている情報システムをそのまま持ち込むだけであっては、望ましい形での近代化とはならないであろう。それぞれの独白の文化を保持しながら、その国情に合った近代化を進めていくことが理想であろう。たしかに日本はある意味での理想的な非西洋型近代化のモデルとして注目されているが、残念ながらそれは西洋からの視点のものが多く、日本でのこのような問題意識にもとづいた研究は、十分であるとはいえないのが現状である。したがって、当事者の立場からこの種の研究を充実させていくことによって、開発途上国の近代化に際しての問題解決に資するところ大であると思われる。次に、前章までで述べてきた国際交流の活惜化と異文化間コミュニケーション研究の重要性の増大に関連した日本のすべき貢献についても触れておきたい。異文化間コミュニケーションについての研究はまだ体系的にははっきりとまとまった段階にはないが、主に西洋の立場、欧米中心主義に基づいて進められており、非欧米中心主義で著わされた異文化間コミュニケーションに関する日本で入手可能な文献は、インドのシタラムのものくらい注11)であろう。国連大学は学術機関として真にグローバルな視点からの研究を目指しているが、その理念から、一方向に偏しない研究システムを構築することも期待されているo Lたがって、非西洋的立場からの異文化間コミュニケーションの研究についての提言もより活発に行なわれるべきであろう。コミュニケーションについて日本は古くから、「不立文字、教外別伝」、「以心伝心」など、主に樽の理念による独特の体系を持ち、それが墨絵、茶の参など、さまざまな文化に影響を与えてきた。したがって、非西洋的立場からの異文注Il)X.S.シタラム、御堂岡潔訳、1985、『異文化間コミュニケーション』東京創元社739