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概要

satoh

第6回優秀賞前もって考慮することなしには行動を決定し得なくなり、行動の自由度の幅が次第にせばまる結果になるのではないか、という議論がある。たしかに、こと国際社会という視点から捉えた場合、すべての問題にわたって、世界全体がある基準のもとに統制されるというような事態は、決して好ましくはないであろう。国際社会をシステムとして考えた場合、それを構成する個々のいわゆるサブシステムがある一定の水準に達しているということがシステムが円滑に機能する要件となるわけであるが、現状に於いてはサブシステムにあたる各国家の水準が均一ではないため、情報の流れを筆頭として、大きな歪みを生ずる危険性がまだまだ大きいからである。しかし、ある程度問題を、「宇宙船地球号」的視野から考えなければならないもの、たとえばェネルギー・システムや資源管理、食糧、エネルギー連鎖等に絞βて考えたときには、ある程度国家の自由を調整してでも人類全体の存続のために解決しなければならない必要性が生じてくる。このような問題の解決に必要なトータル・システムの最適化の在り方の探求にあたって、まさに国連大学の存在が不可欠になってくると思われる。なぜならば、国家単位で考えると国家主権が存在し、どうしても国益が優先してしまうため、たとえ各国が国際社会の中での相互の関連性を十分考慮に入れて政策決定をするとしても、必ずしもグローバルな視点から人類全体・地球全体の発展に結びつくような結論を出すとは限らないからである。その点、国連大学は世界の学者や研究者が、自由に協力して人類のために知識、展望を分かち合える機関になることを目指しており、それに必要な学問の自由が国連大学憲章によって保障されており、その言葉の持つ真の意味において単なる国益を超越したグローバルな存在として、優先順位の上位に位置する緊急性を帯びた課題について、トータルシステムの最適化-の調整をしながら世界全休-その成果を波及させていくことが期待されるのである。そこで、そのような役割を円滑に果たしていくために必要な方策を、以下具体的にいくつか列挙していくことにしたい。まず第-に、高度情報化社会となった国際社会-の有効な提言を行なうため、情報量自注1)体の飛躍的増大が望まれる。高度情報化は同時に社会のいわゆる「高速化」をももたらし注l)辻村明、1980、『高速社会と人間』かんき出版731