ブックタイトルsatoh

ページ
73/1034

このページは satoh の電子ブックに掲載されている73ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

satoh

第1回優秀賞28)タームを批判し、上記のように解釈したBNSを人的開発(HumanDevelopment)と呼29)ぶ。このロジックの最大の問題点は、資源が基本的ニーズの充足に充てられるため経済成長が低下せざるを得ず、基本的ニーズ充足を続行するための財源が不足しないかということである。世銀は、長期的には基本的ニーズの充足がもたらす出生率の低下、労働生産性の向上、個人の変化-の対応能力の増加、政治情勢の安定化が経済成長率を押し上げ、そのような事態が出現することはないとしており、短期的にも現行の基本的ニーズ対策における資源の浪費を節約することによって、基本的ニーズと成長のトレード・オフを防げる30)と主張する。(i)人的開発-どう評価すべきか人的開発(以下HDと略す)では、分配(所得)と成長(生産構造)を統一的に把握する従来からの世銀の視点に、消費という新たな要素が加わる。生産、投資、及び所得に関するいかなる政策を考慮する時も、消費の必要性とパターンという要素が視野に入らなければならないのである。この意味でHDは1974年のRedisiributionwithGrowthにおけるフレームワークの拡張型と言ってよい。当然Cheneryのロジックと共通する部分があるが、最大の共通点は貧困層の生産性上昇を成功-の鍵と見倣す視点である。そこでのHDの新しさは、以前は生産性を阻害すると考えられていた食糧消費に、栄養状態の改善による生産性上昇の働きを認めたことである。このようなHDの性格は、Cheneryの議論の持っていた弱点を継承するものである。31)構造主義者からの批判は当然としても、HDは、教育の普及によって水を煮沸して飲む32)ようになった結果、上水道の建設が不必要になったスリ・ランカの例を引いて、教育投資の最優先視を説くのだが、その一方で大量失業が同じ教育に由来するのも厳然たる事実である。大切なのは教育に対する単なる投資額の増大ではなく、教育制度の改革なのではないだろうかoHDの眼目である生産性向上につながる食糧消費の実現も、現実には困難が多いo世銀も最貧困層(底辺の20%)の消費水準を上昇させることは、各種の補助政策3)によっても難しいことを認めている.ましてや一般の食糧消費がどれだけ生産性-の貢献往28)op.lit.p2注29)WorldDepvclopme打tRcporE.AtLguSl1960,WorldBank,1980,p2荘30)NormanHicks,川GrowthysBasicNeeds:IsThereaTrade・of?"worldDevclopmeTZEVOl.7,1979を参照。注31)構造主義者は土地改革の必要性を強調する。注32)W.B.PolicyPlanningandProgram Review Dep.,op.cit,p8珪33)W.B.PolicyPlanningandProgram Review Pep.,op.cit_,p14 71