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概要

satoh

第6回優秀貰われる。極東や東南アジアにわたる範囲の防衛をアメリカ合衆国とともに共同して行ってゆくのであれば、国防費が国民総生産の1%では足りないであろう。しかし、安保条約の性格のそのような変更が、わが国にとっても近隣のアジア諸国に対しても本当に必要なことなのであろうか。少なくともアセアン諸国は日本の軍事力のこれ以上の増大には大変大きい危供の念を表明しているのである。1985年の日本の国防費総額は3兆円を超えた。これは世界第8位であり、中国を除いてアジアの中では突出した金額である。装備は年々向上し、F15を52機擁する航空自衛隊はアメリカ合衆国とソビエト連邦を除いてアジアで最強の空軍といわれ、海上自衛隊でも米、ソ、英、仏に次ぐ世界第5位の海軍といわれるほどになっているとのことであるOこれをさらに拡充強化するというのであれば、その目標はソビエト連邦の軍事力に十分括抗Lうるものということになるのではないか。アメリカ合衆国もソビエト連邦も年々増大する軍事費の重圧に自国の経済発展が抑制されてきていることは明らかになっているOアメリカ合衆国は年宥畠む一方の軍事費の負担を少しでも軽減しようとして、日本に国防費の大幅増額を迫るわけだが、これをまとも引受けたのではそれこそ際限がない。日本としてはアメリカ合衆国とソビエト連邦の双方に働きかけて軍縮交渉を進め、軍事費の削減こそ取るべき唯一の賢明な道であることを粘り強く説くべきである。日本が今日これだけの経済大国に発展することができたのは国防費の負担が軽かったことに大きな原因がある。ここにアメリカ合衆国から安保ただ乗りという非難が生れる根拠もあるのだが、実際にどれほど他国から独立を脅かされる程の脅威があってそれがアメリカ合衆国の力で未然に防ぎ止められたのかは明確ではない。日本が平和憲法の下で国防費の無際限の膨張を抑制し、近隣諸国に日本が現実の武力による脅威とならぬよう神経を使って来たことが近隣諸国においても武力で日本に対抗しようとする動きを起させず、それが結果的にどれだけ日本の利益となったかわからない0日本のこれまで取ってきた政策、軍事費はできるだけ抑制しつつ、余力を他の費用に振り向け総合的に国力の増大を図ると719