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概要

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第6回優秀賞監視され、いろいろの面で摩擦が生じている.いわゆる先端技術に関連する諸科学の分野では研究成果の公表にも各国の利害がからむようなり、情報の公開はいろいろな意味で制約を受けるようになってきている。こうした一種の閉鎖主義的傾向は、自由貿易主義に対する保護貿易主義の台頭において最も先鋭的に現われているが、国際活動のあらゆる分野に多かれ少なかれ見られるのである。こういう状況が生ずる原因としては、当事国間のまったくの誤解にもとづくものもないではないが、他国(他人)の力に依存しきって自国(自分)のみ利益を独占しようとする物の考え方が最も大きなものとして挙げられると思う。日本はこれまで何といっても、欧米の先進諸国が開拓してきた科学・技術の成果を土台にして経済的な発展を遂げたのであって,その間日本が欧米の先進諸国に対して与え、これらの国々がそのことによって利益を享受したという科学・技術上の成果はほとんどといってよいほど無いのである.今後いろいろな面でE]本に対する世界各国からの風当たりは強くなる一方であろう。われわれはこうした他国人の言動に対し、その依って来たる原因が何であるあを深く省察し、根本原因の除去に努めるべきであろう。個々の摩擦に対し対症療法的対策にのみ終始するようであってはならない。大切なことは21世紀において日本人が科学・技術の分野において開拓者的業績を多く挙げ、日本以外の国々がその恩恵に浴するようにすることである。日本人が日本人だけの利益を考え、姑息な態度や行動をとること、あるいはそうとられかねない言動をすることを厳しく排除していかねばならない。日本は21世紀においても基本的には自由貿易の下で生きる道を見出すほかあるまい。そうして自国が利益を挙げる一方では、その利益を有効に吐き出し、世界の人々に還元することである。その道の1つが、学術研究体制を強化拡充してその成果を広く世界の人々に分つことである。国連大学の諸活動に惜しみなく国費を投ずることは、日本が日本だけのために行っている行為ととられるおそれが最も少ない。そうしてここで重要なことは、日本は資金のみ投下するのでなく、日本人の創造的亘朝露も惜しみなく投下することである。717