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概要

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占める。ソ連の1985年の国防費は公表数字では191億ルーブル(約220億ドル)で全歳出の5%であるが、他の費目に隠れている実質上の国防費を集計すれば、その総額は公表数字の少なくとも数倍に達するとのことである(NATO資料)。こうした莫大な金額を軍備に注ぎ込んでもなお不足と見え、ソ連は衛星攻撃兵器(ASAT)の開発に着手し、米国はそれを上回る強力な兵器体系-戦略防衛構想(SDI)-の開発を行うことを発表した(1983年)。今や軍拡競争は宇宙にまで拡大し、止まるところを知らない。このような軍事費の膨張が続けば、米ソとも自国の経済発展に悪影響が出るのは当然のことである。米国は1984年に1853億ドルもの財政赤字を出し、1985年には2222億ドルの赤字が見込まれている。ソ連も軍備の拡大で民生部門-の資源の割り当てが減少し、経済不振が出ている。農業の不振が毎年のように続くのは必ずしも天候不順のためばかりではなさそうである。軍拡競争の余波は兵器貿易量の増大に現われている。1982年の世界の兵器輸出額は362億ドルで世界の輸出総量の2%に当る。途上国や中東産油国が、自国経済不振にもかかわらず、兵器購入の良い顧客である。輸出国は米国とソ連が際立った存在であるが、フランス、英国、西独なども含まれる。兵器輸出は輸出国の外交目的達成の道具であったり、兵器開発コストの吸収のためであったりすることが問題である。こうした状況が局地戦争を助長することになるのは当然のことである。米ソの狂気じみた軍拡競争を止めさせ、軍縮の方向に向わせる努力がなされなければならない。これは、両国のためであることはもとよりのこと、その巻き添えで有形無形の悪影響をいろいろに蒙っている国々-主に局地紛争を抱える国々-にとっては死活にもかかわる重要性を持つといってよかろう。(2)世界経済発展の不均衡今、世界経済は著しい変調を来しており、自由経済の危機に発展しかねない状況であるo708