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概要

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第1回優秀賞の規制が必要かということである。以下ではこの視点を中心として開発戦略に関する考察を進める。Ⅲ(i)潮流開発戦略の現状GNP成長を主要な開発目的とする開発戦略-の不満と反省は60年代末期に表面化L、大量失業、所得の不平等分配、絶対的貧困の解決こそが肝要であるという視角が示され19)た。世界銀行もこれらの問題を重視し、マクナマテ総裁は、先進国が援助という改革のコ20)スTtを負担することによって途上国における反乱の政治的リスクを軽減しようと訴えた01974年にはこの間笹に対する世銀の対応策を示唆するRedistrz'bution withGrowthが出版され、ここに分配の視点と成長の視点を等しく重要視する新しい開発戦略が打ち出され21)た。この戦略は、貧困層に対する優先的投資によってその生産性を向上させ、その所得を増大させることを基本的視点とし,教育という人的投資、土地改革による資産の再分配、貧困層向けの公共投資を行うと、短期的には一国の成長が後退するが、長期的には投資による生産性の向上により、貧困層の生産と所得が増大するとともに、一国全体としても所2)得増大が現出すると主張する。Cheneryは貧困層に対する物的・人的資本供与が成功をもたらす可能性を高く評価するが、多くの国において土地改革が政治的抵抗にあうことを予想し、土地改革に対する期待は小さhoまた貧困層に対する所得移転による消費の拡大が短期的に一国の福祉水準を上昇させることは認めるが、それが投資水準を低下させ、生産性上昇を実現させないことを理由に、母子保健サービス等、特殊な集団に対する所得移23)転を除いてこの政策を否定した。Cheneryのこの議論は、抽象的レベルで考えると妥当なものに思える。しかし、途上国の現状を直視すると、人的投資という先進国起源の概念では説明できない問題が生起していることは前節で述べたとおりであり、また貧困層-の投資によって所得が増えても、その増加した部分は貧困層である小作人よりも地主に帰属する可能性が高い。また消費は基本的に投資の阻害要因として考えられ、途上国において注19)DudleySeers,I-TheMeaningorDevelopment",InternationalDevelopmentReview vol.ll.No.4,1969を参照。往20)RobertS.MacNaTrLara,A耶ualSL・cechloEkeBoardofGovemo'・sIW2,worldBank睦21)Chenery,RcdJIstn'buElonwithGrowth,1974往22)Chenery,Dp.Cit.,p47注23)Chenery,pp.cit.,pp48-49占9