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概要

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以上において示したスリ・ランカにij・ける先進国文化の崇拝とその価値観の受容は、財、技術、教育、制度等の移植を支持し、促進したと考えられる。特に植民地政府及び上流階級を積極的推進者に持ったことから、その傾向はより加速された。人々は国産品より輸入財を好み、旧宗主国の役人に代表される仕事(手を汚さない、いわゆるホワイトカラーの仕事)に高い価値を置いている。また移植された諸要素は、[財と技術〕、〔技術と教育〕、[制度と価値観〕等のように相互に強い関連性を持っている。従ってそれらの途上国-の移植は、価値観を中心とした全ての要素を含むパッケージとしての移植にならざるを得なかったようである。先進国と異なる経済発展をめざす中国が、先進国とは異なった財のみ、あるいは技術のみを開発しようとするのではなく、中国独自の財、技術.教育、制16)度、価値観のパッケージを創出しようとしている事実は、まことに示唆的であるO(vi)まとめ以上の考察において先進国起源の諸要素の途上国-の移植と、大量失業、所得の不平等分配、絶対的貧困を内容とする特殊な低開発性との間の因果関係を示唆した。しかしこの因果関係が存在することから、先進国起源の諸要素を否定することは誤りであるO先進国起源の諸要素は通常の効率概念で考えた時、明らかに高い生産性を持つ。それは、これらの諸要素の導入によって、事実、途上国のGNP成長率が増大したことからも判る。これまでの論考は、そのような成長に際して、途上国経済に歪みが生じ、特殊な低開発性が発生したことを強調するものである。P.Streetenは、開発戦略が目前の問題を解決する17) 18)ことによって新しい問題を引き起こすことを、開発戦略のヒュドラ状況と名付けるが、ここではGNPの低成長率という頑を切り落とした途端に低開発性という新しい頑が生じたわけである。中国経済政策の近年における変換が示唆するように、開発戦略のいかんにかかわらず近代技術が達成した生産力の最大活用が、開発には不可欠である。これは先進国起源の諸要素に共通して言える。問題は、生産力及び導入した諸要素をどのように利用するかという■●●ことであり、無原則な導入から発生する弊害を防ぐためには、どのような社会的見地から占8注16)∫.ガーリー「中国経済と毛沢東戦略」中兼和津吹矢吹雪訳岩波書店1978年を参照。注17)ヒュドラ状況〔ギリシャ神話〕ヒュドラとは-テクレスに殺された九頑の蛇O-つの頭を切るとそのあとにこっの豆如;生えたという.転じてそのような状況。注18)paulStreeterL,D門,eEopmenIIdeas血Hz-3loricalPerspecELもeITheNewITZIerestL'TZDet・cZopmeTIE,FifthWorldCongressoftheInternationalEconomi亡Association,1977,p14