ブックタイトルsatoh

ページ
69/1034

このページは satoh の電子ブックに掲載されている69ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

satoh

第1回優秀賞義は望ましくないと言えそうである。このような視点は経済学の盲点である。しかしスリ・ランカはわずか一例にすぎず、これでもって途上国一般を類推することは差し控えたレュo(Ⅴ)価値槻植民地としての経験及び独立後の通商関係を通じて途上国に流入した先進国の価値観が途上国の開発にどのような影響を与えたかという問蓮に答えるのは難Lhoここでは上述した先進国の財、技術、教育、制度の移植と途上国による先進国の価値観の受容との関係に的を絞り、再びスリ・ランカを例にとって考えたい。まず、スリ・ランカの価値観受容を階級別に考えるならば、上流階概の価値観は、宗主国イギリスに範をとった上流階級向けのエリート学校によって創り出された要素が大き1)い。上流階級に属する者は、英語の授業を受け、キリスト教を信仰し、純英国風の生活を好んだ。最上層の者はオクスブリッジに留学し,後で母国語を学びなおきなければならなくなるなど、そのイギリス的価値観の受容は驚くほど高い水準を示している。彼らは自分自身の中に先進国を移植LたのであるO中流階級における価値観の受容は一面では把えきれない。独立以前の彼らにとって植民地政府職員の地位は憧憶の対象であったのは事実で12)ある。しかし、中流階級の中核をなすシンノ、リ仏教徒は、西欧の支配者によるキリスト教の押しつけと仏教抑圧に対し、1873年のパナドゥラ論争を契機として反撃に移り、仏教を13)精神的基盤とする民族的自覚を得るにいたったoこのナショナリズムが独立をもたらすOここで見られるのは先進国の価値観の一定の受容と、それに対する固有文化の反発である。このような側面があるが、中流階級には先進文化に対する.憧れが根強く存在してい14)る。下層階級の場合は推定が難しい。しかし19世紀中葉にスリ・ランカを訪れたイギリス人は、「世界の中でセイロン人ほどイギリス製品に高V1耐直を置く国民はいない」と述べており、20世紀初頭に同国の農村を訪れたセンサス調査員は,どんなに貧しい家でも先進15)国製品を有し、それらを珍重していることに驚嘆している。彼等も財によって示された先進国文化に強い憧れを持っていたと言えよう。症ll)良.P.ドー7,op.°it.,p75匹12)氏.P.ド-7,op.°it.,p77注13)前田東学"近代化を迎えるセイロン仏教の対応"「アジア近代化の研究」p313注14)M.Wijesilgheを参照o注15)M.Wijesinghe,op.cit.,p70からの引用.占7