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概要

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第6回最優秀賞テーマであろう。文化的相対主義の立場からすれば、西欧の知を標準文化として中心に置き、その他の文化を周辺に位置づけるという近代の構造を刺激するためにも、周辺文化同士の相互比較がなされるべきである。2都市共同体の未来像の探索人と人との関係を軸にこれからの社会を考えていく場合に、グローバルな地縁関係と並んで、日常の生活圏としての共同体のあり方が問題となる。とりわけ、対象となる地域社会の観点に立ち、その内側から研究すべきテーマを発掘していくことが大切である。人類の文明を生活様式からとらえると、遊牧、狩猟採集、農耕定住、都市生活と4つに分類されるという。現代においては工業化と都市化が同時進行してきたという歴史的経緯もあり、先進工業国でも発展途上国でも、都市生活が主流となっている。自然の生産力に依存する農業社会から人工的技術環境に囲まれる工業社会-の移行が近代をつくりあげたと同時に、近代の限界も次第に明らかになってきた。特に、最近のサービス経済化の進行で、伝統的な家庭機能を外在化させることも可能となっており、農耕社会的共同体は崩壊してしまっているO情縁関係の増大が人と人との対面的な直接関係を希薄なものとしており、個立的な生き方をする個人の疑以共同体が無数乱立しているのが現状であろう。人類学の研究によれば、食料を分かち合うのは霊長類のうちで人類だけであり、それゆえに個人同士の相互依存に基づく共同体的生活が人類の社会的特徴であるとされる。現代の都会人はこの命題に挑戦しているともいえる。技術文明の進展は、共同体を解体せしめ、個立的生き方を可能にした反面、サービスや情報のネットワークに大幅に依存せざるを得ない状況をもたらした.こうした高度に人工的な都市の生活様式は人と人との関係と並んで、人と機械との関係が極めて重大な要素であることを示唆するものである。ところで伝統的な社会学の分析では主として権力構造を含む人と人との関係を中心に社会が研究対象とされており、人とモノとのかかわりはほとんど捨象されているO近代の限界が見えてきつつある今日、都市における共同体のあり方を、装置系も含めて問い直すことは、これからの文明を考えるうえで不可欠の研究といえるのではないかoこうした広い占77