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概要

satoh

第6回最優秀賞ことに止まるものではないと思われる。すなわち、研究者の出身地域の文化的背景を個々に併存させつつ、そこからひとつの化合物としての新しい視点を地球のために形成することでなければならない。そうしてこそ初めて、既存の知を超えた創造が行われるわけで、研究者同士の触発のない単なる知の合成だけでは所詮意味のない作業であるoさらにいえば、知の創造のプロセスに共同参加することによって、研究者自身のものの考え方にラジカルな変化が起こり、そのうえでお互いに反応し合うことが不可欠であるといえる。このように考えると、国連大学の研究体制には2つの大きな前提が置かれるべきである。前提1、異った視点の導入国際色豊かな研究陣を使うことによって、何よりも国際的普遍性を備えた研究成果に恵まれるOとりわけ、東洋の尺度や南側の視点を導入することは、近代の知が西洋中心で、かつ北側の諸国で形成されてきたという歴史的背景を考える時に極めて大切である。例えば、西洋において音楽史と称される本では、非欧州圏の伝統音楽に割かれるページ数はどくわずかであって、民族音楽やアジアの音楽はまともに扱われていないのが現状であるといわれるO限界を見せ始めている近代の知を乗り越えるモメソT.は、身体や意識の自然状態を知のあり方のひとつの重要な要因として位置づける東洋的な伝統をもう一度とらえ直すようなところから得られるのかもしれない。こうした他者の視点の導入こそ、自己の視点を新しい地平のもとに展開していく鍵であることを忘れてはなるまい.前提2、文化的相対主義我々はいまだ総体としての地球文化というものを認識しうる段階には至っていない。比較文化の研究もいまだ発展途上にある。したがって、我々は国際的普遍性を追求するあまり、無理やりに地球上の現存諸文化を単一のベクトルに収れんさせたり、あるいは不確かさのない体系として確立してしまうことを避けなければならない。むしろ、文化に無限の多様性を承認することが、各地域と地球とを「つなぐ」前提として要求されるのではないか。A地域の文化とB地域の文化とは互いに重なり合う部分と平行線をたどる部分とふ占73