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概要

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分、即ち在来部門との間にGrifinの見出したロジックが働いた結果であるのなら、望ましくない生産構造の出現は資本主義のロジックによるものであり、その存在は、途上国の発展に悪影響を与え続ける可能性がある。(i)技術先進国における技術体系は、その国の所得水準、資本蓄積、労働賃金率、労働の熟練度、その他社会的要因に規定されて形成されており、その意味で先進国に適した技術体系と言える。この技術体系が何の修正もなく途上国に移植される時、F.Stewartによれば3)次のような事態が発生する。まず資本が豊かで労働力が稀少な先進国で開発された資本集4)約的技術が、途上国に移植され、先進国起源の財生産部門、即ち近代部門(Fセクター)が形成される。一般に資本不足に悩む途上国におけるFセクターの創出は、当然規模が限られており、技術の労働節約性により雇用の可能性も極く限定されている。また農業を5)含む在来産業(Lセクター)-向う苦の資本を吸収することによって、Lセクターの資本蓄積を阻害する。このような状況からFセクターの労働生産性は、Lセクターと比較して高くなり、上質な労働力の吸収と定着化をめざすFセクターの政策もあって、FセクターとLセクターの賃金較差は非常に大きいものになっている。高賃金を得るFセクターの相対的に少数の従業員はエリート層を形成し、彼等白身、Fセクターの生産する先進国起源の洗練された財-の需要を創り出す。途上国経済が,このような因果関係によってFセクターとLセクターに二分される事態をF.Stewartは開発における二重6)性パターンと呼ぶ。エリート層を形成するFセクター-の参入希望者が、同セクターが吸収しうる人数を大幅に超えるため、そこに大量失業が発生する。またFセクターとLセクターの間の賃金較差は、所得の不平等性を増大させる要因となり、投資におけるLセクター軽視は絶対的貧困を助長する。以上から、現代における特殊な低開発性の背後に、途上国には不適当な技術体系の導入によって創出された、開発における二重性パターンが存在することが判る。(i)教育注3)FrarlCeSStewaTt,Tec加nologyLZndUnderdevelopmenE,Ma亡milan,1978,pp65174注4)foreigns亡CtOr注5)l∝alse亡tOT注6)FrancesStewarl,op.cjt.,p74