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概要

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第5回佳作わが村の大人の背越Lに、国際理解と国際協力を感じとってゆくに違いない.地域社会の行動こそ、国際協力を推進する教育教育は社会とともに歩み、独立した存在としてはありえない。いうなれば教育は社会の反映である。その意味でわが国社会で国際理解・国際協力というスローガンばかりが飛び交い、実態を伴わないままに、それを教育の場で推進しようとしても実をあげることができない。青少年は虚実を見抜く天性の勘を備えている。教師が教壇から国際理解と国際協力を説いても、生徒の心に刻印を押すことはできない。国際理解と国際協力の分野は、その本質が知識でない以上、カリキュラムや制度の変更など、教科を前提とした教育技術として論じるのは不向きである。国際理解も国際協力も、その教材と教育の場は、海外と様々な形で係わり合う生きた社会そのものであり、その身近な水先案内人は我々である。言葉による知識は経年変化して色槌せるが、人格を通して与えられた感動は、年とともに光を増し、さらに発酵して後の精神の飛躍を促すもととなる。教育の本質はそうした人格を通した感動の伝承であり、精神の内奥-の種まきである。青少年はわが町村の我々が、日頃の親父にも似ず、唯一の莞しみの晩酌と巨人戦ナイターを返上して会合に出かけ、かの町や村の住民の暮らしを論じ、帰宅しては調べものをする変った姿に「おや」と思うだろう。子供はそうした親父の貞撃な姿に何かを感じるだろう。何をやっているのか問いかけもするだろう。そこでかの町かの村の暮らしが語られ、「大変なことに係わり合ってしまった」後悔や「何をやっても無駄かもしれない」といった嘆息が聞けるかもしれない。しかしそれでも、相変らず町村の仲間と議論して働く父親の姿が見られるならば、子供は父親の後姿をずっと見続けるだろう。わが町や村にそうした父親が増えれば、その姿を見守る子供達も増え続ける。子供達にとってそうした大人の姿こそ教師であり、その日常を見守ることが即ち教育に僅かならない。子供達の心の中で占55