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概要

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「開発戦略の将来像」一低開発性の克服をめざして-馬場靖憲Ⅰはじめに開発途上国問題が現代国際社会における緊急課題であり、その解決なしには国際社会の安定成長が得られないということは、今や世界的共通認識となりつつある。一方、この緊急課題に答えることをその任務とする開発経済学は、現実問題に対する有効な処方葺を示してきたとは決して言えず、開発経済学は未完の学問という地位にとどまっている。この状況を反映し、過去において幾多の開発戦略が提唱され、忘却されていった。いわば開発敏略のファッション化現象が進行してきたのである。本論文は、開発戦略の将来像を考察するものであるが、時流と共に消えていくような開発戦略ではなく、途上国間題の本質に基盤を持つ確固たる開発戦略を追求したい。その為に、まずⅡ節で、何が低開発性の原因であるかという開発経済学の基本問題を考え、Ⅱ節で、現在の開発戦略を私なりに評価し、IV節において、Ⅲ節で得た視角をもとに望ましい開発戦略の可能性に触れたい.なお、紙幅の関係上、例示はスリ・ランカを中心にして行う。Ⅱ低開発性の原因- -視角の提示-何故に低開発性が存在するのであろうか.それは熱帯の気候、人々の性向.また資本の過少に由来するのかもしれない。しかし大量失業、不平等な所得分配、絶対的貧困という特殊な表現型を持つ今日の低開発性の原因として、先進国が途上国の中に低開発性の種子を植え込んだという側面を見逃すわけにはいかない。その低開発性の種子には、過去に行われた途上国に対する搾取が含まれ、先進国に有利に働く旧国際経済秩序が含まれるのか62