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概要

satoh

た。今日、日本はその延長線上を直走っている。かくして日本人は近代日本の建設に手本となる国の文化を称揚し、反対に手本にならない国の文化を軽蔑するという置きを経験しなければならなかった。日本人の多くは偏見というこの病に気付いていなかったし、今日でさえ気付いている人は少ないように思う。異文化同士の接触がますます頻繁となっている現代、国際関係がますます緊密化し、時に緊迫化するこの時代にあって、この置きがいかばかりか悲劇的な障害を引き起こさないとも限らない。自民族中心主義という甑からの解放が急務である。強く支持するものから同時に離脱する。これは神業でなくて何であろうか。人間にできることなのか。しかしこのディレンマを乗り越えることなくして人類は生き延びることができないのであれば、この挑戦を敢然と受け止めるのが人間らしい行為というものだ。本稿では、いかにこの挑戦を切り抜けるかについての方途を提言したい。緊要課題である国際理解と国際協力の推進のための教育のあり方に少Lでも貢献できれば幸いである.2.文化相対主義文化人類学の重要な貢献の一つは文化相対主義(culturalrelativism)の方法で異文化をその内側から理解してきたことにある。文化相対主義とは、ビドニーによれば、「社会的文化的現象を科学的客観性を以て、理想的には所与の文化の関係者ないし支持者の見方から理解し記述する方法である。そして所与の文化的社会的脈絡の中での意義によって文化的現象を評価する」(Biddney,D.,1968,p.543)方法である。そしてこの方法は、人類学者に対して自分の文化や価値観を超越、あるいは暫くの間排除して異文化の人々の主観や自民族中心主義的態度や心理を自分のものとし、そのために想像力や同感といった能力に加えて敬意、寛容、慈悲心を要求する(Bidney,D.,1968,p.543,547,Herskovits,M.,1948,PP.76-77,レッドフィールド,1978,158頁).人類学者がフィールド・ワークのために開発してきたこの方法は異文化に接する全ての人々に大いに参考になると私は占oも